「子供が何度も手を洗うことをやめられない」と悩んでいる親御さんはいませんか?
手洗いだけでなく、子供が同じ行動を異常に繰り返し、日常生活に影響が出て困っている場合「強迫性障害」という病気の可能性があります。
今回は、何度も手を洗うことは病気なのか?また、強迫性障害とはどんな病気なのかについてご紹介します。
目次
何度も手を洗うことがやめられないのは病気?
一概に病気と断定できません。
なぜなら、きれい好きで何度も手を洗う子供もいるからです。
じゃあ、どうなったら病気なの?
それは、本人がやめたいと思っていても自分の意志でやめられない、明らかに生活に影響が出て本人も周りも困っている状態になった場合です。
このように自分でもわかっているのに、意思に反して頭の中に不安感や不快感が湧き出てきて止まらなくなることを強迫観念といいます。
また、その不安感や不快感を取り除こうとする行動のことを強迫行為といいます。
きれい好きと強迫性障害の違いは「自分の意志で行っているか」どうかです。
強迫性障害ときれい好きの違いについて
例えば、入念に身体を洗うためにお風呂の時間が長い子がいたとします。
しかし、家族から「早く出てくれないとお風呂に入る時間が遅くなって困る」と言われ、時間を短くできる場合はきれい好きの可能性が高いです。
家族から苦情を言われても、治らない場合は強迫性障害の可能性が高いです。
そして、本人の心の持ちようにも違いがあります。
きれい好きな子であれば、お風呂に入りきれいになった後はリラックスできるかと思います。
しかし、強迫性障害の子は、入浴の手順が決まっており、その手順を間違えずに行えたのかと考えしまい、むしろ緊張してしまいます。
強迫性障害のこだわり行動
強迫性障害の子が、繰り返し行ってしまう「こだわり行動」は手洗いだけではありません。
【こだわり行動の例】
- 何度も手を洗う
- 鍵を閉め忘れたのではないかと何度も確認する
- 1日に何度もお風呂に入る
- 回数や物の位置にこだわる
こだわり行動は、強迫性障害以外でもあるのでは?と思う方もいるでしょう。
もちろん、その可能性もあります。
では、次に他の病気や障害との関連性についてご紹介します。
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強迫性障害と発達障害
発達障害の子供によくみられる「こだわり行動」は、強迫性障害の強迫行為と似たものがあります。
例えば、ブロックやミニカーを並べたり、特定の洋服しか着たがらない、予定通りに行動しないといけない、など自分で決めたルールを守ります。
強迫性障害と発達障害の違いは「こだわり行動がいつから出ているのか」が大きな違いかと思われます。
発達障害は、生まれつき脳機能の発達に偏りがあり、小さい頃からこだわり行動が出ていることが多いです。
それに対して、強迫性障害は人間関係や引越し、進学など大きなストレスがかかるライフイベントがきっかけでこだわり行動が始まります。
理由は、脳の神経伝達物質(セロトニン)の働きに異常が発生して起こると考えられています。
また、発達障害からくるこだわり行動は本人に嫌悪感はありません。
なので、急にこだわり行動が出た、やめたいのにやめられない、という場合は強迫性障害の可能性が考えられます。
強迫性障害と発達障害の併存
もともと発達障害の傾向を持っていて、強迫性障害が発症するケースもあります。
発達障害の二次障害の中に強迫性障害があるので、かかわりが強い病気とされています。
大人の例ですが、強迫性障害と診断されたのちに、アスペルガー症候群だと分かった方がいるそうです。
また、定型発達の子供でもおまじない的にこだわり行動をする場合があるので、診断するのが難しいです。
強迫性障害は二次障害としてうつ病を発症するケースが多いですし、子供の場合はチック障害が出ることもあります。
おかしいな、と思った場合は早めに児童精神科を受診し、専門医に相談されることをおすすめします。
子供の強迫性障害で注意が必要なこと
大人の強迫性障害には無く、子供にだけある特徴に「巻き込み」があります。
【巻き込み】
自分の不安を家族にぶつけて不安を解消するのを手伝ってもらったり、不安を解消するために行う強迫行為を家族にもするよう強要するといった行為
巻き込まれた家族が一緒に強迫行為をしてくれると、一時的には落ち着きますが、その後強迫観念が強くなります。
そして、強くなった強迫観念を落ち着かせるために要求がエスカレートしていきます。
強迫行為をすると一時的には落ち着くけれど、また強迫観念がより強くなる。
負のスパイラルに陥り、症状を悪化させてしまいます。
全力で巻き込むケースが多く、巻き込まれた家族はストレスになりますし、子供自身も自己嫌悪と罪悪感でいっぱいになってしまいます。
ここで大切なのは、絶対に巻き込みには応じないことです!
強迫性障害の子供の治療には、本人だけでなく家族も覚悟を持って一緒に治療することが必要です。
強迫症状が出ている時、子供が別人になってしまったように思えることがあります。
強迫行為に賛同してくれないことで、ひどい言葉を言われて傷つく親御さんもいます。
しかし、それは病気がさせていることで、本人の性格が変わったわけではありません。
症状が緩和すれば、きっと元のお子さんに戻るので必要以上に心配になり、親御さん自身が疲弊しないように気を付けてくださいね。
まとめ
渦中にいると、このまま治らないのではないか…と絶望してしまうことがあるかと思います。
数日で良くなる病気ではないので、ある程度長期間にはなりますが、適切な治療を受ければ必ず良くなりますので安心してくださいね。