強迫性障害とはどんな病気かご存じですか?
聞きなれない方もいるかもしれませんが、実は100人あたり2~3人患者がいるといわれている病気です。
そして、大人だけでなく子供もかかる病気です。
今回は、強迫性障害とはどんな病気か、もしも子供がなった時にはどうすればよいのか対処法についてもご紹介します。
目次
強迫性障害とは?
強迫性障害になると、自分が考えようと思っていなくても勝手に頭に浮かんでしまい、そのことを考えないようにしたくても払いのけられません。
そして、自分でもやらなくていいと分かっていても何度も同じ行動や確認を繰り返してしまい日常生活に支障が出る病気です。
強迫性障害の主な症状が「強迫観念」と「強迫行為」です。
【強迫観念】:頭から離れられない強い不安や不快感
【強迫行為】:不安や不快感を無くすために繰り返す行為
例えば、手が汚れていないのに手が汚れていると思い何度も手洗いをする、戸締りをしても心配になり何度も確認する、などがあります。
こう聞くと、ただの潔癖症や心配性な人ではないの?と思う方もいるかもしれません。
しかし、強迫性障害は「考えずにはいられない」「やらずにはいられない」と、強迫観念や強迫行為が過剰になり日常生活に支障をきたしている点が違います。
WHO(世界保健機関)によって「経済損失および生活の質の低下に影響する10大疾患」の1つに挙げられています。
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強迫性障害の症状
代表的な症状として、次のようなものがあります。
【代表的な症状】
- 不潔恐怖
- 洗浄恐怖
- 加害恐怖
- 確認行為
- 儀式行為
- 数字へのこだわり
- 物の配置、対称性などへのこだわり
不潔恐怖
誰かが触れた本やドアノブ、電車のつり革などを汚いと感じるため触れません。
また、人と接触するスポーツが出来なかったり、公共のトイレが使用できません。
洗浄恐怖
手がひび割れてしまうほど何度も手洗いしたり、1日に何回もお風呂に入ったりするのを繰り返します。
また、ウイルスや細菌にも感染するのではないかと過剰に不安になります。
加害恐怖
自転車で誰かを引いてしまうのではないか、誰かを傷つけてしまうのではないか、というように人に危害を加えているのではないかという不安が心から離れません。
確認行為
火の消し忘れを心配して何度も確認する、戸締りが不安で何度も確認するなど、とにかく何度も確かめないと気がすみません。
儀式行為
自分で決めたルーティーンを行わないと、恐ろしいことが起きると不安になります。
その為、どんな時も同じ方法で仕事や家事をしなくてはなりません。
数字へのこだわり
なんでも数えないと気がすまない、決めた回数だけやらなければいけない、特定の数字が不吉と考え避けるなど、異常に数にこだわってしまいます。
物の配置、対称性などへのこだわり
本や文房具などの置き場所に一定のルールがあり、必ず決めた通りになっていないと不安になります。
大人の場合、強迫行為がやめたくてもやめられず、自分でもやりすぎてしまっている自覚と違和感があるそうです。
しかし、子供の場合はこの違和感があまりないそうです。
強迫性障害の発症年齢と原因
強迫性障害を発症する年齢の多くは10~20代と言われ、生涯有病率は3%前後でまれな病気ではありません。
強迫性障害は発症の時期により、児童期発症と成人期発症に分けられるそうです。
児童期発症の強迫性障害に限ると発症する年齢は10歳前後が多いそうです。
そして、200人に1人の割合で発症しています。
原因や要因は特定されていませんが、人間関係や仕事のストレス、妊娠や出産などのライフイベントがきっかけになる傾向があるといわれています。
子供の場合は、進学や進級、引越しなど環境が大きく変わること、いじめや病気などが発症の引き金になるそうです。
きっかけは様々ありますが、主に脳の働きに障害が出ることによって発症することが分かってきています。
なので、親の育て方に問題があって起こるものではありません。
生真面目・几帳面・完璧主義・頑固な性格の子が発症しやすいといわれています。
強迫性障害の対処法
子供の強迫性障害は、発達障害と関わっている場合があるため、児童精神科を受診されることをおすすめします。
どんな行動をしてどんなことが困っているのか、メモしておくと受診の際に役立ちます。
病院に受診し治療をする場合、次の2つの治療法を一緒に行うことが多いそうです。
【治療法】
- 認知行動療法
- 薬による治療
認知行動療法
再発予防効果が高い代表的な治療法が「暴露反応妨害法」です。
これは、強迫観念にかられ不安になっても、強迫行為をすることを我慢するという行動療法です。
例えば、自分が汚いと思うものを触っても手を洗わないで我慢します。
これを続けていくと、強かった不安が時間の経過とともに次第に弱くなり、最終的には不安を打ち消すためにしていた行動をしなくても良くなっていきます。
人間の慣れをうまく利用した方法です。
まずは、不安が少ないことから順番に練習していきます。
場合によっては、本人が一番治したいと思うものや効果がありそうなものから取り組むこともあります。
薬による治療
多くの場合、強迫症状や抑うつ、強い不安感があるので、まずは抗うつ剤で状態を安定させてから認知行動療法に移行するのが一般的です。
環境の変化や友人関係など、様々なストレスや不安に直面した時に症状が起こりやすく、悪化に繋がるケースもあります。
症状の改善には、ストレスを減らすために環境を整えること、不安や緊張が起こった時の対処法を知っておくことも大切です。
また、子供の行動を無理やり止めたり責めたりしないでください。
無理やり行動を止めようとすると、周りへの不信感を強めるだけで症状は良くなりません。
まとめ
昔は治らない病気と言われていたそうですが、現在では認知行動療法で多くの方が良くなるようになりました。
しかし、短期間で良くなる病気ではないので、専門医に相談しながら焦らず治療していくことが大切です。